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執筆者の写真Beyond Media

経済再開で果たしてどうなる米国


経済再開を急ぐトランプ大統領の4月16日の会見 


writer 津山恵子 [ジャーナリスト] from Business Insider Japan


トランプ氏が前のめりな経済再開への不安。韓国・ドイツ同様の対策なら逃れられた経済損失


「風と共に去りぬ」の舞台、南部ジョージア州に、ホワイトハウスや各州知事、医療関係者の視線が注がれている。


新型コロナウイルスの感染拡大で事実上のロックダウンをしている州の中で先駆けて4月24日(米国東部時間)、まずは歯科やスポーツジム、27日からはレストランと幅広い業種の営業を再開したためだ。


全米42州(4月23日現在)が出勤禁止・自宅待機令を発し、食品店・病院・薬局以外は営業禁止、レストランはテイクアウトと出前しか許されていない中での、“見切り再開”。


専門家は再開に対して警告


ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームのアンソニー・ファウチ医師は、ブライアン・ケンプ州知事(共和党)に対し、「再開するな」と警告。経済活動の早い再開を強調してきたトランプ米大統領でさえ、ケンプ州知事にこう告げたという。


「彼の決断には激しく同意しかねる。しかし、やりたいようにやればいい」(4月22日記者会見にて)


ケンプ知事が出した行政命令によると、4月24日から再開する業種は、理髪店・美容院や歯科、タトゥーショップ、ネールサロン、マッサージなど、利用者との接触が多いものも含まれる。ジムやボーリング場なども、利用者の検温を条件に営業再開できる。


まだ米政府や州政府が、家族以外とは社会的距離(1.8メートル)を取ることを強く徹底しているにもかかわらずだ。


さらに27日からは、社会的距離を取ることを条件に、レストラン、劇場、クラブまで営業という急な再開プロセスだ。


ケンプ知事は、「知事の新型コロナ対策チームの助言も受け、州経済の強さを守るとともに、住民などの健康と安全、発展をもたらすことが必要である」と、行政命令で再開の理由を示した。ジョージア州の感染者数は4月22日までに2万523人、死亡者数は862人だ。


早期再開を求める保守系住民


アメリカでは5月1日にかけて、ジョージア州に続き8州が次々に社会・経済活動を再開する。その中には、南部のテキサス州など人口が多い州も含まれるが、ジョージア州に比べると段階的な再開だ。


人口で全米第2位のテキサス州は、食品以外の小売店の営業を許可する。ただデパートなど大型店は、オンラインで注文したものをドライブスルーなどでピックアップする形式を指示。従業員には検温、マスク、手洗いが義務付けられる。


保守系住民が多い南部を中心に、共和党州知事が牛耳る州は経済活動再開を急いでいるが、そこにはトランプ大統領の発言が大きく影響している。


トランプ大統領は3月下旬には、4月12日のキリストの復活祭には経済活動を再開し、教会の礼拝をする案を打ち出した。保守系住民とトランプ支持者が教会に通えないことに強い不満を持っているからだ。その案は頓挫したものの、4月13日には、国民に早期の職場復帰を呼びかけ、政権は再開に「かなり近づいている」と繰り返し述べた。


さらに、再開の時期を決めるのは州知事ではなく自分であり、「最終的な権限は私にある」と述べ、州に対し、経済再開を義務付ける大統領令をちらつかせた。


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